第壱話 「終わりの始まり」 – 幸楽鳥一家

第壱話 「終わりの始まり」

 

窓からの優しい風が頬を通りすぎる。

それと同時に目を覚ました。

私の取る行動はいつも同じだ。

鳴る前の目覚ましの正面で身構える。

PPP…!

目覚ましが鳴った瞬間に止める。

 

「っよし!」

 

今日も勝てたと満足感に浸れる瞬間である。

 

「おはよう!今日も良い朝だっ!」

 

誰に言った訳ではないが、これもいつものルーチンだ。言わないと落ち着かない。

軽く背伸びをしつつ、髪をまとめながらいつもの道着に着替える。

 

 

……ん?こら!今から着替えるんだ少し出て行ってもらおうか。

 

 

 

 

 

 

 

すまない。待たせたな。

なぜ朝から道着に着替えたかって?

みんな朝の鍛錬をするだろう?そのためだよ。

言わなくてもわかるだろうがこの鍛錬も私の一日の始まりのルーチンだ。

日々変わることは無い。

 

 

 

 

 

申し遅れたが、私の名前は「フレンド・R・アスカ」

とある惑星のとあるパラレルワールドにある、ラッピーの楽園を守護する一族だ。

尊敬する人物は父上だが、憧れている人物は父上ではなくラッピーバロン様だ。

数々の戦果と功績を挙げ【黄金鳥伝説】の再来とまで言われた彼の強さは、幼い私が憧れるに十二分すぎた。

彼の剣技は舞と称され、その美しさと言ったら…

 

--------30分後--------

 

…と、いうわけで、私は彼を目指している。正確には彼を超えたいとさえ思っている。

さっきも言ったが、私は楽園を守護する一族だ。

強くなければ誰も護れない。

 

 

心も体もな。

 

 

 

 

 

 

 

毎朝の鍛錬が終わり、喉の渇きを癒していると遠くから声をかけられた。

 

「おはようございます。アスカさん。」

(チッ、朝っぱらから暑苦しいのに会っちまった。)

 

その声の方向を見ると、手を振りこちらへ歩いてくる姉がいた。

 

「おはようございます。姉上!」

 

「今日も鍛錬ですか?朝から頑張りますね。」

(声でけーよ。聞こえてるっつぅんだよ。)

 

いつもニコニコと優しい笑顔のこちらの姉は、長女のマリア姉さんだ。

だが今はもう儀式を終え、名を失ってしまっている。

だから姉上としか呼べない。

 

「私も来年は儀式を行わねばなりません。休んでいる暇などありません!」

 

「そうですね…来年は貴女も…」

(やっぱり暑苦しいわ。シューゾーかよ。)

 

「そんな顔をなさらないで下さい!私はこの楽園を護れることを誇りに思っているのですから!」

 

「えぇ、そうですね。」

(ヘイヘイ。)

 

マリア姉さんはいつも優しい笑顔で私達姉妹を見守ってくれている。

挫けそうになった時や、つらい時には必ず手を差し伸べてくれる私の自慢の姉だ。

 

「姉上は今から御公務ですか?」

 

「えぇ、行く前に少し喉が渇いたもので。」

(当たり前だろ。アタシは忙しいんだよ。)

 

「今日も暑くなりそうです・・・御身体には気をつけて!」

 

「えぇ。ありがとう。」

(暑いのはオメェだろ。)

 

 

 

 

 

朝の鍛錬が終わると、続いては座学の時間だ。

私はこの座学が苦手で…どうにも活字を見ていると眠くなってしまう。

やっぱり頭を使ってどうこうするよりも、体を動かしたほうが性に合っている。

そんな私を知ってか、普段は妹が付いて教えてくれるのだが今日は居ない。

妹に教えられるのは少し残念な姉になってしまうが、座学を指導してくれるのは上の妹の方だ。

上の妹はアルビノ種なので私が逆立ちしたって敵わない。埋められない種族差みたいなものだ。

ただ悪いやつじゃぁない、愛嬌を込めて私は白い妹と呼んでいる。

その白い妹は今日何をしているかというと、なんでも両親の研究を手伝っているらしい。

その関係で今日は居ない。つまり寝ても仕方が無いということだ。

では、おやすみなさい Zzz…

 

 

 

 

 

「あ~~~!お姉ちゃん寝てる~~~!!!」

 

一際大きな声で起こされた。

 

「ふぇ?え?いやいや、寝てないよ?」

 

咄嗟に誤魔化してしまう。

 

「うそだ~~!ぜったい寝てたもん!」

 

「寝てないって。本当に本当だって!」

 

「顔によだれの痕がついてるよぉ~?」

 

「え?うそ?どこっ?」

 

決定的な証拠を突きつけられた犯人の心境だった。

 

「うそだよ~~~ん♪」

 

よだれの痕を隠そうと必死でゴシゴシしていた私が恥ずかしい。

穴があったら入りたいとはこのことだ。

 

「ノルンちゃん。こうゆう悪い嘘はついちゃダメでしょ!」

 

恥ずかしさのあまりつい下の妹を責めたって仕方ないよね。

 

「えーとね?アルビノ姉さんが、こう言ってアスカ姉さんを起こして来いって。」

 

うぐぐ…

ぐうの音も出ないとはまさにこのこと。

 

「なんだ・・・白い妹の差し金だったか・・・」

 

白い妹はこういった人を食ったことをしょっちゅう行う。

私が引っかかるのが悪いのだが・・・

 

「もうすぐお昼だから、起こしてきてって言われたの。」

 

「そうか。もうそんな時間か。ノルンちゃんありがとう。」

 

このノルンちゃんは一番下の妹だ。

元気なのは結構なのだが、今みたいに白い妹の手先になることだけはやめていただきたい・・・

 

「ん?ノルンちゃん何を持ってるんだ?」

 

「えへへ~これアルビノ姉さんに貰っちゃったんだ~

じゃじゃーん!TOKIYOの写真集で~す!

マシゲルちゃんがね、ちょ~かっこいいの~♪」

 

「前から欲しいって言ってたやつだな。それは良かったな。」

 

誰しも経験はあるだろう、好きなアイドルや好きなバンドのグッズや写真集を集めたりしたことは。

しかしこの楽園には普通の物流が無いため、欲しい物は中々手に入らない。

その為、外の世界へ出た際に持って帰らなければならない。

わざわざ白い妹がノルンちゃんの為に買って帰ったんだろう。

かわいいことをする。

 

「うんっ。だからね、わたしアルビノ姉さんのお願いを聞くって約束したんだ~」

 

前言撤回。

これはただの餌ではないか。

目の前で私の敵に回る発言をした妹をこのままにして良いのだろうか…

 

「そうだっ!お姉ちゃん早くお昼ごはんを食べにいかなきゃ。」

 

「そうだな。お腹も空いたしなっ!」

 

 

 

このとき、私はまだ知らなかった。

いつもある平和といつも訪れる平穏は、このとき既に終わりを迎えていたことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楽園からはるか遠く、宇宙空間に漂う一つの残骸に佇む幾つかの人影があった。

 

[楽園戦争-Lost Eden-]  第壱話 「終わりの始まり」

 

「本当にその【魔眼】が手に入れば、私の封印されている力の在り処がわかるんでしょうね?」

 

「そうだ。」

 

「その情報の真偽は我には関係の無い話だ。より強い者と戦える・・・それで十分だ。」

 

「い~~っぱい、壊しちゃおう。」

 

「い~~っぱい、殺しちゃおう。」

 

「ただし【魔眼】を手に入れるだけでは駄目だ。それを扱う器も必要だ。」

 

「めんどくさいわね。・・・まぁいいわ。記憶さえ消してしまえばどうにでもなるわね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

楽園崩壊まで…後二日

 

 

 

 

 

 

 

 

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