第1話 「ワタシとアタシ」 – 幸楽鳥一家

第1話 「ワタシとアタシ」

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

う・・・・・・

 

なんでしょう・・・とても頭が痛い・・・

 

それに体も・・・思う様に動かせない・・・

 

全身を覆う倦怠感に意識も朦朧としたまま・・・

 

どうして?いつから?考えが働かない・・・

 

_____痛ッ!!

 

急に右眼に激痛が走る。

その痛みで頭の中にかかっていたモヤのようなものが晴れる。

 

 

「よぉ、やぁっと気が付いたようだな。」

 

 

突然声が聞こえた。

正確には「聞こえた」のではなく「認識できた」という感覚。

辺りを見回すも周りは闇。

今までわかりませんでした。

黒に黒を塗り重ねればこのような漆黒になるのでしょうか?

何も・・・見えない・・・闇・・・

 

 

 

「おぃおぃぉぃ・・・わかんねぇのかよ。アタシだよ。アタシ。」

 

「あの、ごめんなさい…どなたでしょうか?」

 

「やっぱわかってネーみてぇだな。」

 

「申し訳ありません。貴方がどちらにいらっしゃるのかも・・・」

 

「はぁ・・・マジかよ・・・」

 

 

どこから声が聞こえているのかも、誰が話しかけているのかもわからない。

わかるのは、女性だということ。

でもなぜか・・・この人を【知っている】気がする・・・

 

 

「アタシはアタシ。アンタの中に【居る】もう一人のアタシだよ。」

 

「ワタシの中に【居る】もう一人のワタシ・・・?」

 

「あー・・・違う違う。アタシはアタシ。アンタはワタシ。understand?

 

「えっと、ごめんなさい。ちょっと理解が追いつかなくて・・・」

 

 

「何も難しく考える必要はネーんだよ。産まれた時からアタシとワタシは一緒に【居た】んだ。

まだわかんねぇのか?こうすれば、わかるだろッ!」

 

 

そう聞こえるや否やワタシの左手が勝手に動きだし、右眼の眼帯を千切りとった。

 

 

「きゃっ!待ってっ!ワタシの右眼には…」

 

「……わかるだろ?【今誰が喋ってる】のか…」

 

 

 

[侵食鳥姫-Boost Rappy-] 第1話 「ワタシとアタシ」

 

 

 

このときやっとワタシは理解した。

喋っているのは・・・ワタシだ。

 

 

あれほど忌み嫌っていた右眼なのに、何事も無いように見えている。

魔眼も発動していない・・・?いや、発動している。

しているのに、完璧にコントロールされている。

 

 

「何・・・これ・・・」

 

「やっとご理解頂けた様で。」

 

 

ワタシの意思では指一本すら動かせない。

ワタシの自由になるのは思考だけ…

そうなれば、少しずつ冷静になり状況を整理していった。

 

 

「なるほど。だんだんわかってきました。」

 

「流石ワタシ。理解が早くて助かるぜ。」

 

「幾つか質問しても?」

 

「alright.」

 

「先ずは…貴方のことをなんとお呼びしたら?」

 

「あぁん?アタシはアタシだよ。」

 

「そうですか。では【もう一人のアタシ】でよろしいでしょうか?」

 

「宜しいで御座いますデスヨ。」

 

 

 

 

 

 

いくつも質問を浴びせてわかったのですが、この彼女は間違い無くワタシです。

正確にはアタシなのですが…

誰にも見せたことのない、胸の下に隠れているホクロの数を即答された時に確信しました。

何とも恥ずかしい質問でしたが・・・///

なぜワタシの中にアタシが【居る】のか、理由は彼女にもわからないみたいでしたが、

産まれたときから一緒に【居た】というのも本当でしょう。

同じ記憶を持っていますから。

喋る口調から、とても雑な方かとも思いましたが、根本はワタシと同じでした。

とてもワタシらしい…

いえ、とてもアタシらしい。

ワタシの質問に愚痴を言いながらも全て答えて頂けました。

口調はその・・・F○○kだとかぶっ○すとか、物騒な事を仰っていましたが・・・笑

 

 

ワタシはアタシの発言の裏を取る質問をいくつもしてきましたが、肝心の質問だけは避ける様にしていました。

なぜなら、その質問をしてしまったら、ワタシとアタシの今の関係が崩れてしまう気がして…

でも…しなきゃ、ダメですよね。

 

 

 

 

 

「恐らく最後の質問になると思いますが…」

 

「あんだよ!まだあんのかよ!」

 

「ワタシの身体は【今】【何処で】【何をしていますか?】」

 

「・・・・・・・・」

 

 

今まで饒舌に喋っていたアタシが急に口を噤んだ。

 

 

「教えて下さい!ワタシは今の状況もそれに至った理由も全て知りません!

仮にこの状況が【もう一人のアタシ】の所為だとしても責める気はありません。

アタシはワタシなのでしょう…?」

 

「あ~・・・なんつぅか、頭が良すぎるのも考えモンだな。」

 

「ふふふっ、自分に褒められる経験は初めてですよ。」

 

「冗談はさておき、だ。全然覚えてねぇのかよ?」

 

「はい。」

 

「つれぇ思いすんぞ?」

 

「覚悟しています。」

 

「…わかった。」

 

 

 

 

 

もう一人のアタシは、全てを話してくれた。

ワタシの住んでいた楽園がダーカーに滅ぼされた事件について…

 

 

 

 

 

ダーカーの親的な存在にあたるダークファルス達、

そのダークファルスの封印された力を探すために、

ワタシの持っている【魔眼】を利用しようとした奴等は楽園を襲ったのだそうです。

しかし、ワタシ達一族は楽園を守護する一族です。

全ての民を避難させるまではと、善戦していたそうですが…

ダークファルス達が前線に出てきてから、戦況が変わったそうです。

【巨躯】と父の一騎打ちで父が破れ、その際に傍にいたアスカが禁忌を犯し、

【双子】が避難中のノルン達の元へ現われ、破壊の限りを尽くしたそうです。

そのときワタシは何をしていたのか…アタシは教えてくれました。

【若人】【仮面】と戦っていたのだと。

禁忌を犯し魔眼も全ての力を使って戦っていたと…

しかしダークファルス二体を退けるには至らず、そのまま鹵獲されてしまったと…

その後【双子】に記憶を喰われ。奴等に利用されていると…

 

 

 

その全てをアタシは【視て】いるのだと…

 

 

 

「そんなことが…あったんですね…」

 

「ワリーが、アタシは嘘がつけねぇ。」

 

「それはワタシも同じですから。」

 

「そうだな。アタシはワタシだ。」

 

「つまり今、ワタシの身体は…」

 

「【ダーカーに侵食され】【ダークファルス化し】【妹と戦っている】」

 

 

 

 

 

 

 

 

  • いいね! (10)

0 0 0 1
ラッピーガール

ラッピーガール

幸楽鳥一家の絶対権力者
義理と人情に篤く、常に全力疾走
方言効果もあり、口の悪さが超一級品
ラッピーガール

▼ PSO2サポーターズリンク参加中!投票よろしくお願いします♪

YOU、そのまま投票しちゃいなYO☆



コメントはこちらから(画像反映に時間がかかる場合があります)

メールアドレスが公開されることはありません。