話の通じない女




いつかまた・・・お前達と共に・・・

白に染まる世界の中で最後にそう願ったようなそうでもないような・・・。

うーん、やはりぼんやりとしか思いだせぬ。

というか、そこしか覚えておらぬ。

つまりは何一つとしてわからぬ、という事だ。

はっはっは。

「あらあら、今日はご機嫌ね。」

自傷気味に笑う私を見て優しそうな女性が顔を覗き込む。

いやいや、違うのだ。

今のはそういう類のものではない。

「自分とは何か」という哲学的な思考を張り巡らせて・・・

えー、つまり・・そのー、なんだ。

「それに元気いっぱいね。お外に行きたいのかしら?」

手足をバタバタさせながら必死に説明する私の言葉をよそに

太陽の光が差し込む窓を見ながら優しく微笑む。

なぜだ?

何をどう解釈すれば我がご機嫌で外に行きたいなどという結論に至るのだ?

話を聞いてないにもほどがある。

まったく、外がなんだと・・・あー・・・いーぃ天気じゃなぁ・・・。

なるほど。

確かにこれだけ天気の良いと散歩にでも行きたくなる気持ちもわからなくはないな。

まぁ、そうだな。

お主がどうしても行きたいというなら行ってやらん事もないぞ。

私はどっちでもいいがな。

どっちでもいいが、お主がどうしてもと言うなら・・・

「でもダーメ」

なっ、なんじゃとぉ!?

人をその気にさせておいてダメだと!?

いやいや、私は別に行きたくはなかったが!

しかし、それはなかろうよ!

行きたくはなかったが!

「あらあら、今度はどうしたのかしら。しかめっ面で暴れ出すなんて」

誰の!

ハァハァ

せいだと!

ハァハァ

思って・・・!

ハァハァ

ハァハァ

ハァ・・・ハァ・・・

なぜだ、体が動かぬ・・・

これしきの事で疲れるなど・・・

「表情豊かでなんて愛らしいのかしら。うふふ、疲れてウトウトしてる」

うるさい・・・

愛らしいなどと・・・

私に・・・言う・・・

zzz

「おやすみ、私のかわいいボーヤ」

ボーヤ?

一瞬聞こえた不思議な言葉に疑問を抱いたが

私の意識は襲い来るまどろみの中へと沈んで行くのであった。

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ひとがた
ひとがた

甘ったるいカフェオレが大好き。
基本的に役立たずで扱いが難しい。
怒らせると怖いらしい、ともっぱらの噂。

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